業界を知る
電気工事の仕事
~活躍するフィールド~商社から施工まで~
電気工事「現場」の2大職種――「電工」と「代人」
電気設備工事の「現場」は、基本的に「電工(電気工事士/職人)」と「代人(現場代理人)」によって、あらかじめ決められた工期に合わせ、仕事が進められていきます。
電工の仕事は屋内外の配線を中心とする、文字通りの電気工事です。代人の仕事は、工事の工期や予算も含めて、現場におけるミッションが滞りなく、安全に進められるように「管理」します。
電気設備会社には現場以外にも多様な仕事がある
「現場」での仕事は「電工」と「代人」が推進しますが、それだけではもちろん、電気設備会社全体の仕事は成り立ちません。
仕事を受注するとともに現場のバックアップをする「企画・営業部門」は不可欠ですし、現場に必要な各種の図面をCADで起こすなど、さまざまな仕事があります。
したがって大学・専門学校・工業高校・職業訓練校などで電気を直接学ばなくてもすぐにできる仕事は、たくさんあります。さらに、文系の学部出身でも国家資格を取得すれば、現場の仕事に携わることができます。
本サイトで紹介している企業はみな、各種の資格取得のためのバックアップ体制がしっかりしていますので、まずは入社してから、自分の先行きを決めるなどということも、仕事への意欲があれば可能なのです。
電気工事業界の歩みとこれから
~建物に命を吹き込む電気設備は、
現代文明を維持する社会インフラの要~
電気工事業界はこんな業界です①・現状
電気工事業は、建設業を構成する専門職種の中でも非常に重要な役割を果たしています。
電気工事業を一言でいえば、建設業法で定められた「建設業」を構成する「29の職種」の一つの専門職種ということになります。建設業を構成する職種には、建設計画などを総合的に請け負って完成に至るまでの工程を管理する「建築一式工事(工事を元請けするゼネコンなど)」と、建設計画にまつわる土木関係の仕事を総合的に請け負って管理する「土木一式工事」が、まずあります。それにプラス、27の「専門工事業」の集合体が「建設業」を構成しており、電気工事業は、専門工事業の一つの職種となります。
ミュージカルや演劇などの舞台芸術は、よく「総合芸術」と表現されます。一つの舞台を成立させているのは、出演者である俳優だけではありません。演出家、脚本家、作曲家、衣装係、メイクアップアーティスト、照明係などの舞台公演に直接かかわる人々に加え、俳優をサポートするマネージャーや付け人、ポスターやチラシを作る人、宣伝・営業を担当する人、チケットを売る人などを含めた、数多くの専門職種の「総合力」で成り立っているという意味で、まさに「総合芸術」なのです。建設業も同様で、総計29種の職種で成り立っています。
先に書いたプロデューサー役の「建築一式工事」および「土木一式工事」の2職種にプラス、木材の加工や築造を請け負う大工工事業、壁の塗料吹き付けや防水工事などを請け負う左官工事業、足場や鉄骨の組み立・杭打ちなどを請け負うとび・土木工事業、冷暖房や給排水などを請け負う管工事業などのほか、内装工事業、板金工事業、ガラス工事業、電気通信工事業、造園工事業、水道工事業など、実に多種多彩です。
電気工事業はそうした専門職種の一つとして「発電設備/変電設備/送配電設備/構内電気設備」など、いわゆる電気設備工事の全般を請け負います。
いうまでもなく、建設業を構成する専門職種はどれも必要不可欠なものばかりです。さまざまな職種に携わる人たちの総力によって作り上げられた建設物(肉体)に、電気という推進力(血液)を行き渡らせることで、生命力が吹き込まれる。電気工事とはそんな仕事、ともいえるでしょう。
ビルディング建設に限りません。電気工事はマンションや住宅建設、商業施設や工場建設、病院建設など、建設業を構成する専門職種の中でも非常に重要な役割を果たしているのです。
では、建物内のどこに電線が張り巡らされているのでしょうか。実は、建物の床下や天井、壁の内側に電線は張り巡らされています。電線は建物内の表面に現れないため、電気がどのよう供給されているのかを理解しづらいのではないかと思いますが、そのことが電気工事会社の社会的な認知度を低くしているのかもしれません。
電気がどのように作られ、どのように家庭や企業まで送り届けられるのかについて、関西電気保安協会が作成した、次のイラストを見てください。

水力発電所や原子力発電所、火力発電所などで作られた電気は送電線を通じて超高圧変電所で電圧が下げられ、さらに一次変電所、二次変電所によって、電圧がさらに引き下げられ、それぞれの需要にそって大工場や鉄道変電所、ビル、中工場などへ送られます。そして配電用変電所で電圧が下げられ、柱上変圧器(街中の電柱の上部に設置された変圧器)からショウ工場や家庭へ電気が電線を通じて送られます。
さらに家庭での電気の流れを示したのが、以下のイラストです。このイラストも関西電気保安協会の公式ホームページにあるイラストを引用しています。屋外にある電気メーターや屋内の分電盤などの電気機器のほか、コンセントの取り付けも電気工事会社の仕事となります。

電気工事業界はこんな業界です②・将来性
市場の将来性が、電気工事業界の最大の魅力です。
現代の電気工事業界が持つ「最大の魅力」とは、いったい何でしょうか!? 一言でいえば、私たちはそれを「市場の将来性」と捉えています。実際、電気工事市場の将来性には非常に高いものがあります。現代においては、太陽光や風力をはじめとする自然エネルギーを活用した各種の発電事業が活況を呈していますが、どのような手段で発電された電気エネルギーであっても、それを都市に送電し、都市を構成する企業や病院、工場、商業施設、一般家庭などに配電するのは、電気工事業の仕事になります。
ガスや水道とともに、現代人の生活に不可欠な電気は、それらの中でも最重要のインフラ設備ですから、電気工事の需要は拡大することはあっても、減少することは考えられません。
日本は現在、少子高齢化とそれに付随する人口減少が進みつつあり、経済活動もさまざまに変化してきています。しかし、電気の必要性は決してなくなりません。むしろ人口減少などの対策として、デジタル化や省力化、省人化、あるいは環境負荷への対策などを含む「合理化」が、あらゆる側面から進んでいくことが予測される現状において、電気の必要性はさらに高まっていきます。
資源エネルギー庁の公表資料では、今後10年間、電力需要は上昇するとされています。でも、それは控えめな予測であり、電力需要は時代の推移とともに、ますます進んでいくことが予測できます。
また、生成AIの進化などによって、今後、知識集約型の職業を中心に仕事そのものがAIに置き換わっていくとされます。一方では「ホワイトカラーからブルーカラーへの関心」が高まりつつある現在、人が介在することで成り立つ、労働集約型産業の典型である電気工事という職種がもつ「無形の価値」は、さらに高まっていくと考えられます。
では、どのような電気工事の需要があるのかというと、以下のようになります。
◇需要①「再生エネルギーの普及」/太陽光発電や風力発電のほか蓄電池の導入によって、新たな電気工事の需要が増えるとともに、機器の故障やトラブル時の復旧工事およびメンテナンス工事が増えます。
◇需要②「首都圏の再開発」/人口が減少するものの、東京を中心とする都市部では再開発工事が今後も続き、複合ビル(事務所・ホテル・マンションなどが一体となったビル)などの新築工事による電気工事の需要が拡大します。
◇需要③「既存建築物のリニューアル」/ビル、工場、倉庫、学校、病院などの非住宅施設の老朽化にともない、建物のリニューアル工事が今後増えていきます。そのなかで、工事の主役となるのが電気工事です。リニューアルにともない、省エネ化やデジタル化、安全に対する関心度が高まりますが、これらに関連する機器はすべて電気を動力源としているからです。
◇需要④「社会インフラの老朽化」/公共施設、学校、病院などの社会インフラの老朽化にともなうリニューアル工事のほかメンテナンスや改修工事の増大によって、電気工事の需要が拡大します
◇需要➄「生成AI市場の進展と半導体工場の新設」/AIが進化するとともにAI市場が拡大することで、データセンターや半導体工場の新設が今後、大幅に増えるという予測があります。データセンター、半導体工場の電力需要は膨大で、電力需要が増大する大きな要因となっています。
電気工事業界はこんな業界です③・ひっ迫する需給関係
就業者の高齢化で、供給力は今後、急速に減少していくことが予測されます。
電気工事の需要が増大する一方で、電気工事業界に就業する人たちの高齢化が進み、少子化によって若年労働者が減少していくため、電気工事の供給力は減少していきます。
総務省が毎月公表している労働力調査(標本調査)によると、2026年4月における建設業就業者は462万人となっています。このうち男性が379万人と全体の82%を占め、女性は83万人と20%にとどまっています。ちなみに国内産業における女性就業者の占める割合は48%なので、電気工事業を含む建設業では、女性の進出余地が非常に大きいということになります。
建設業就業者のなかで65歳以上は79万人となって、就業者の17%を占めます。国内産業における65歳以上の就業者が占める割合は14%ですから、建設業は高齢化が進んでいる業種だと考えられます。電気工事の需要が拡大する一方で、電気工事を手掛ける人が今後、減少するわけですから、需要と供給のバランスがひっ迫し、電気工事の工事金額が上がり、電気工事会社の業績もアップします。その結果、電気工事会社に従事する人たちの給与も増えていきます。
ここでいう建設業には、建築工事業、土木工事業のほか電気工事業や内装工事業、通信工事業、消防工事業のほか29種類の工事業が含まれます。建設業の多くは国家資格を取得しなくても仕事に就けますが、電気工事業に就くためには電気工事士という国家資格を取得しなければなりません。この国家資格の取得が、電気工事業に就こうと考えたときにハードルとなる可能性はあると思いますが、逆の視点に立てば、国家資格を取得して経験を積み重ねていけば、自らの優位性を高めることにつながります。
電気工事の国家資格ということで、数学の知識が必要と考えるのは間違いではないですが、分かりやすく学べる手段はいろいろあります。電気工事会社の多くは、入社後の社内教育システムで電気工事士のほか各種の国家資格を取得するためのキャリアアップシステムを制度として用意しているので、国家資格の取得に関して心配する必要はあまりないと思います。大事なのは、将来性豊かな電気工事業界で働きたい、という熱い思いだと思います。
電気工事の国家資格取得や、電気工事の仕事内容などに関して詳しい説明をしているサイトがあるので紹介します。これは電気工事に関連する業界団体が共同で立ち上げたサイトですので、安心してご覧いただければと思います。

